開 催:平成 9年12月 7日(日)
最優秀句「鍬を振る男と土の話する」埼玉県 須田 尚美
(選句について)
当日参加の一部及び郵送投句による二部の全作品の中から特撰句として選ばれたものより、さらに両部の選者によって最終的に選ばれたものです。
なおこの句は太田市「文学のさんぽ道」に句碑として建立されます。
特撰句
題 | 選 者 | 特 撰 句 | 府県名 | 雅 号 |
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やわらかい | 仲川たけし | やわらかな目がよってくる募金箱 | 埼 玉 | 斉藤 余生 |
やわらかい硬いとおむつ換えるたび | 栃 木 | 大垣みつ枝 | ||
本音 | 山田 良行 | 建前と本音が腹で睨み合い | 栃 木 | 大しま克明 |
傲慢な勝者に音の無い拍手 | 東 京 | 松田きよね | ||
組む | 渡邊 蓮夫 | 腕組みを解き穏やかな顔になり | 群 馬 | 赤松 一歩 |
盲導犬伴侶に世間広くなり | 栃 木 | 浜田 あや | ||
うっかり | 西村 在我 | 興奮が言ってはならぬこと喋る | 群 馬 | 斉藤登木男 |
似た様な観光バスを詫びて降り | 栃 木 | 福富 昌平 | ||
リボン | 山崎 凉史 | 子のリボン冷たい風はまだ知らず | 東 京 | 齊藤由紀子 |
特売で買ったと思わせぬリボン | 千 葉 | 上田 野出 | ||
自然 | 川俣 喜猿 | 流されるままに流れて石になる | 埼 玉 | 岩間 赫子 |
鍬を振る男と土の話する | 埼 玉 | 須田 尚美 | ||
続く | 竹本瓢太郎 | 桜湯の中から続くおんな坂 | 東 京 | 内田 昌波 |
続篇は喜劇にしたい私小説 | 埼 玉 | 市川つとむ | ||
今日 | 荻原 柳絮 | 目覚しが鳴り出す今日と言う確か | 埼 玉 | 四分一周平 |
今日の悔い置き去りにして夕焼ける | 埼 玉 | 前島 慈朗 | ||
磨く | 斎藤 大雄 | 鍬磨く親子に嘘のない暮し | 秋 田 | 吉田 義雄 |
一の矢を磨き続けて眠くなる | 千 葉 | 榊原 やゑ | ||
磨く | 菅原 一宇 | 言い勝って後味悪い歯を磨く | 山 口 | 田邉千坊子 |
子供部屋ひそかにナイフ磨いてる | 石 川 | 紺矢 肇 | ||
磨く | 関 水華 | 憲法を変えても爪は磨きます | 宮 城 | 保田 二郎 |
人間を磨き続けて無を悟る | 埼 玉 | 岡部 暖窓 | ||
磨く | 大野 風柳 | 夕焼けの空を磨いたのはだあれ | 埼 玉 | 落合広太郎 |
ハンカチで磨いてひとつリンゴ狩 | 栃 木 | 田代 好鳥 | ||
磨く | 加藤 翠谷 | 人間を磨く涙は美しい | 埼 玉 | 斉藤 余生 |
武器磨くなんてかなしい人だろう | 熊 本 | 松田 京美 | ||
磨く | 橘高 薫風 | 靴磨くこともなく何ごともなく | 東 京 | 太田 剛道 |
人生を磨いて残る顔の皺 | 東 京 | 鈴木 寛六 | ||
磨く | 礒野いさむ | 人間を磨いて辞書はぼろぼろに | 兵 庫 | 蛭子千鶴子 |
異郷よし他人の風に磨かれる | 山 梨 | 鈴木 東峰 | ||
磨く | 山本 翠公 | 死ぬまでは磨きつづける石である | 兵 庫 | 原田 北涯 |
きようを売る色にリンゴは磨かれる | 滋 賀 | 上田 斗六 | ||
磨く | 小松原爽介 | 磨かれてきた雑兵の無味無臭 | 青 森 | 岡本かくら |
父健気残り少ない歯を磨き | 山 口 | 新城 伸子 | ||
磨く | 吉岡 龍城 | リサイクル地球を磨く私の手 | 岩 手 | 葛岡ヒデ子 |
ふるさとへまだ帰れない腕磨く | 愛 知 | 伊藤 翠庵 |