第5回「太平記の里」全国川柳大会

開 催:平成 7年 9月10日(日)

最優秀句「雪が舞うここで生まれてここで死ぬ」福島県 吉田 貞子

(選句について)
当日参加の一部および郵送投句による二部の全作品の中から特撰句として選ばれたものより、更に両部の選者によって最終的に選ばれたものです。
なおこの句は太田市「文学のさんぽ道」に句碑として建立されています。

大会功労賞「平凡に生きるにこんな苦労する」埼玉県 山崎 凉史

「太平記の里」全国川柳大会を開催するに当たりご尽力を戴いた山崎凉史氏の功労を讃えて太田市「文学のさんぽ道」に句碑を建立しました。

特撰句

選 者特 撰 句府県名雅 号
エネルギー仲川たけし竜巻の猛威漁船を屋根に乗せ千 葉西村九千坊
保育器のあくびに父が燃えてくる東 京内田 昌波
大騒ぎ山田 良行暴動のきっかけとなる石ひとつ東 京福井  勲
サーカスを逃げた野性は仕止められ栃 木朝海 正雄
伸びる渡邊 蓮夫棒グラフ伸びて命が削られる栃 木福富 昌平
若者を競う背伸びを労られ東 京松田きよね
西村 在我木簡に千年生きる墨の色栃 木高梨 宗路
拓本の墨から貌を出す歴史埼 玉川崎 達海
ふれあい山崎 凉史道連れが豊かな旅にしてくれる埼 玉須田 尚美
美しいふれあいだった若かった埼 玉柿沼 研人
油断川俣 喜猿神様が押すかも知れぬ核ボタン埼 玉てじま晩秋
驕ってる勝者みごとに隙だらけ埼 玉須田 尚美
明日竹本瓢太郎潔く詫びて明日は晴れにする東 京小金沢綏子
焦るまいまだ手をつけぬ明日がある栃 木塚本 勘平
つなぐ荻原 柳絮持ち寄った知恵をつないで軸が読め群 馬木村伊須夫
口下手の言葉つなげる聞き上手群 馬町田 待子
恩恵清水 惣七ある日眼に光が差したアイバンク栃 木渡辺 裕司
お日さまへ長寿で返す畑仕事群 馬中道はじめ
舞う越郷 黙朗千羽づる舞う日の空は青く塗る静 岡米倉 靖二
舞い降りた天使だ呱呱の声をきく広 島中木 未香
舞う菅原 一宇黒田節舞ってひと時天下取る岡 山高野 利光
図鑑から出て舞いたかろ日本トキ東 京片寄 正男
舞う関  水華核が舞う亡びの花に魅せられて宮 城保田 二郎
生い立ちは誰も知らない蝶の舞い石 川寺中よし輔
舞う大野 風柳風が舞うここで一泊しておいで愛 知横井 昌義
ひとりになって優しい舞になりました岡 山寺尾百合子
舞う加藤 翠谷舞い終えて鶴は民話の石になる福 岡長井すみ子
花びらが舞って貴方の妻になる神奈川加藤友三郎
舞う橘高 薫風人間をきれいと思う桜舞う兵 庫春名 恵子
夫婦百景一つ一つに風が舞う徳 島篠原シゲ子
舞う礒野いさむ雪が舞うここで生まれてここで死ぬ福 島吉田 貞子
大舞台踏んで脱皮をした大器東 京大河原 龍
舞う山本 翠公序の舞の心へ戻しゆく背筋兵 庫山本ひさゑ
舞い初めて雪より白い足袋を履く兵 庫嶋村 井寒
舞う小松原爽介雪が舞うここで生まれてここで死ぬ福 島吉田 貞子
ほたる舞う自然回帰に職がない埼 玉中村 春海
舞う吉岡 龍城舞い終えて鶴は民話の石になる福 岡長井すみ子
天女舞う其の下に佇つ果報者東 京鈴木 寛六