第3回「太平記の里」全国川柳大会

開 催:平成 5年10月31日(日)

最優秀句「実直な軍手どちらにでも馴染み」栃木県 横地 耕児

(選句について)
当日参加の一部および郵送投句による二部の中から特撰句として選ばれたものより、更に両部の選者によって最終的に選ばれた作品です。
なおこの句は太田市「文学のさんぽ道」に句碑として建立されています。

大会功労賞「疲れたと言わぬお日様お月様」石川県 山田 良行

「太平記の里」全国川柳大会を開催するに当たりご尽力を戴いた山田良行氏の功労を讃えて文学のさんぽ道に句碑を建立しました。

特撰句

選 者特 撰 句府県名雅 号
仲川たけし彦九郎ロマンと還る二百年東 京北爪 知世
北方の島山彦が返らない栃 木高橋 正子
山田 良行九官鳥家出の妻を呼びつづけ埼 玉野本 君子
九回の裏だと次男借りに来る群 馬荻原非茶子
渡邊 蓮夫家を継ぐ太郎に地平線遙か埼 玉須田 尚美
夜郎自大ひとり残され秋を知る埼 玉川崎 達海
西村 在我唇をかんで社風の中に溶け栃 木福田一二三
沈没を残しお膳を片づける青 森岡本かくら
山崎 凉史父の背は俺を越えよと言っている栃 木高橋 正子
手術後の粥のうまさに手を合わせ群 馬宮崎ただお
川俣 喜猿実直な軍手どちらにでも馴染み栃 木横地 耕児
幸せなことよ達者な二本足栃 木荒井 忠秋
竹本瓢太郎百歳の笑い仏の貌になる青 森岡本かくら
百歳のドラマへ今日も陽が昇る埼 玉須田 尚美
荻原 柳絮ほんとうの鬼で来年など言わぬ神奈川五十嵐 修
資産家へ嫁ぐ年令差を悔いず神奈川唐沢 春樹
清水 惣七城跡にむごい話が埋めてある神奈川五十嵐 修
母の城ゴキブリも住む台所栃 木渡辺 恒雄
西尾  栞馬房から出ればゴールがあるばかり栃 木岡島 秀宝
馬小屋で泣いてた母を覚えてる長 野中澤 恵生
広瀬 反省諦めて駄馬は荷車引き続け埼 玉山谷 紋子
馬買ったお金は黙ったまま渡し群 馬品田紫夏子
礒野いさむ鈴成りの絵馬から翔んだ青い鳥栃 木湯本としお
盛者必衰馬は静かに草を食む東 京齊藤由紀子
越郷 黙朗歯を見せて馬も嬉しい時がある千 葉風間 花盈
馬の字をくずせば走る姿なり栃 木宮崎 可郎
関  水華少年の瞳の奥に棲む天馬福 島玉木 柳子
悠久を埴輪の馬は走りきる三 重伊藤 公子
吉岡 龍城塞翁が馬と明日を疑わず栃 木櫻井 豊泉
黙とうをすれば軍馬も浮かびでる静 岡植松 静河
加藤 翠谷影武者を乗せると馬に隙が出る山 口安平次弘道
駄馬の面かぶった父の手が温い千 葉伊藤 三休
大野 風柳人間の欲知らぬふりする馬よ三 重伊藤 公子
騙された馬が私を見て笑う兵 庫三崎 規正
小松原爽介絵をたたむ野性の馬がさわぐから熊 本宮本美致代
競走馬の眼にある冬と通い合う兵 庫安東はつえ
菅原 一宇競り市と知ってか仔馬動かない東 京玉虫 紫光
少年の心に蒼い馬が棲む静 岡鈴木 克明