場 所:太田市民会館
開 催:平成10年12月 6日(日)
最優秀句「完璧が好きで孤独と二人連れ」埼玉県 川崎 達海
(選句について)
当日参加の一部及び郵送投句による二部の全作品の中から特撰句として選ばれたものより、更に両部の選者によって最終的に選ばれたものです。
なおこの句は太田市「文学のさんぽ道」に句碑として建立されています。
特撰句
題 | 選 者 | 特 撰 句 | 府県名 | 雅 号 |
---|---|---|---|---|
有頂天 | 今川 乱魚 | 有頂天拍手の色は分からない | 群 馬 | 阿久沢廉治 |
有頂天の椅子はガラスで出来ている | 群 馬 | 川津 清人 | ||
完璧 | 野谷 竹路 | 完璧が好きで孤独と二人連れ | 埼 玉 | 川崎 達海 |
ドラフトの目玉三拍子が揃い | 栃 木 | 横地 耕児 | ||
架空 | 竹本瓢太郎 | フィクションの中で自分を取り戻す | 埼 玉 | 野村 秋花 |
虹の橋渡る女の理想論 | 栃 木 | 金子 花泉 | ||
快適 | 川俣 喜猿 | 平成のならやま夏の冬のない | 栃 木 | 岩田 米造 |
安らぎの部屋で男が丸くなる | 東 京 | 内田 昌波 | ||
応対 | 山田 良行 | 電話ではお辞儀もするが舌も出し | 栃 木 | 横地 霧静 |
考えて置きますというお断り | 栃 木 | 阿部喜一郎 | ||
解決 | 山崎 凉史 | 父の樹を揺すると落ちてくる答え | 埼 玉 | 四分一周平 |
一札を取って断ち切るあと腐れ | 栃 木 | 金子 花泉 | ||
穏健 | 西村 在我 | 中道を守り誰にもよく好かれ | 埼 玉 | 川崎 達海 |
春の陽に似た気くばりでまとめ役 | 青 森 | 岡本かくら | ||
間一髪 | 荻原 柳絮 | 間一髪だったと見せる手術痕 | 埼 玉 | 市川つとむ |
ブレーキの音に血が引く生きている | 東 京 | 小金沢綏子 | ||
気概 | 清水 惣七 | 逆流へ気骨虎の尾踏みにいく | 東 京 | 内田 昌波 |
世紀末気概は女の文字になる | 栃 木 | 吉本かめ女 | ||
ぼんやり | 斎藤 大雄 | 嫁がせてぼんやり母の茶が冷める | 栃 木 | 清水 昭子 |
立ち直る日のぼんやりを許される | 新 潟 | 穂苅 豊吉 | ||
ぼんやり | 関 水華 | 視野老いてぼんやり神が見えてくる | 熊 本 | 松田 京美 |
彷彿と四島浮かぶ霧の中 | 神奈川 | 松井つぎ穂 | ||
ぼんやり | 大野 風柳 | 夕やけ小やけ少しぼんやりしてしまう | 熊 本 | 松田 京美 |
ぼんやりとしていたい日も自動ドア | 愛 知 | 林 柳泉 | ||
ぼんやり | 加藤 翠谷 | 子放れに手持ち無沙汰な日が続き | 栃 木 | 常見 周子 |
倒産の窓をぼんやり拭いている | 石 川 | 中嶋伊之助 | ||
ぼんやり | 橘高 薫風 | ぼんやりと亀は万年生きている | 東 京 | 播本 充子 |
少年よぼんやり空を観てごらん | 群 馬 | 荻原非茶子 | ||
ぼんやり | 礒野いさむ | 搾乳を終えてぼんやり雲を追う | 長 野 | 山岸 弘明 |
また同じ石に躓く物思い | 埼 玉 | 岡部 暖窓 | ||
ぼんやり | 山本 翠公 | 頼りない記憶に頼るモンタージュ | 栃 木 | 篠原あきら |
石切場石の息吹が暮れ残る | 東 京 | 牛寄 正男 | ||
ぼんやり | 小松原爽介 | 働ける十指見つめている無聊 | 神奈川 | 横溝 公方 |
窓際の椅子で西日になめられる | 静 岡 | 砂山 澄恵 | ||
ぼんやり | 吉岡 龍城 | 温暖化地球ぼんやりし始める | 神奈川 | 川口 凡人 |
ぼんやりと一人になる日考える | 群 馬 | 西村 トシ |